お題3:ジノバキのエロい話

にゃ〜様 

本気でこられたら太刀打ち出来ませんっ!


本気でこられたら太刀打ち出来ませんっ!







「………あ…っ」



 ドサリとベッドへ押し倒された。



 「お邪魔します」とジーノの家へ上がり上着を脱いだばかりの出来事である。





 驚いてジーノを見上げた椿は次の瞬間にバンっと音を立て自分の顔の横へ勢い良く下ろされたジーノの手にドキッとした。




「お…王……っ」



 見上げたら、じっと自分を見つめられて椿は大きなその瞳を揺らめかせた。



 普段の余裕めいた爽やかな表情では無く口元は笑って無い。今まで見た事あったっけ?と思うくらいの真剣な表情のジーノ。吸い込まれそうな綺麗な瞳に見つめられたまま、何事なのかと椿はただオロオロした。



 ドキドキと高鳴る心臓は今にも飛び出しそうだった。




「バッキー…」



 低いトーンで名前を呼ばれた。普段は聞かない甘く低い声色は艶っぽくて心臓が高鳴る。



 ジーノは視線を逸らさない。椿は思わず身構えた。






「好きだよ」






「………っ」





 瞬間、頭が真っ白になる程の衝撃を受けた……くらいドキンとした。そう言われるのも別に初めてという訳では無いが鼓動が一気に早くなる。



 息苦しくなり、はぁっと呼吸をした時自分が息を詰めてた事に気付いた。



 今だに自分を見つめるジーノの表情は真剣そのもの。ぱちっと一瞬瞬きをした椿の視界はじわと潤んだ涙でぼやけた。











「…泣かなくても良いのに」



 ふっと雰囲気が変わる。



 ジーノのいつもの声色に、はっと現実に戻された椿は静かに頬を伝う涙を慌てて拭った。




「びっくりした?」




 どうしたら良いのかわかりません。と顔に書いてあるように見えるくらいオロオロと動揺する椿にさっきまでとは違う穏やかな声が降りてくる。 



 わけもわからず涙目のまま見上げれば、にっこり優しく笑うジーノがいた。尋ねながら頬を撫でるその手にぴくっと一瞬警戒してしまい、椿は失礼だったかと恐る恐るジーノを見上げたがジーノに気にした様子は無い。



 いつもの柔らかい笑みに椿が目をぱちくりさせる。




「あ…え、えっと…?」



 さらりとした髪も爽やかに微笑むジーノに椿が困惑する。




「たまには本気っぽいトコも見せておかないといけないかな、と思って」




「…え、いや…そんな…」



 普段でも十分溶けそうだし倒れそうです…と情けないが心臓のドキドキはまだ落ちつく気配は無く、それ程本気モードのジーノは椿には太刀打ち出来そうに無い。しどろもどろになる椿の口調はいつにも増して弱々しい。




「でもこう見えても僕もいつも本気だよ」




「え、そうなんですか?」



 意外なジーノの台詞に椿が驚きで目を丸くする。いつも余裕たっぷりに見えるがそうでも無いのだろうか?半信半疑にジーノを見上げればやはり余裕で優雅で隙も無い。




「バッキーが本気なんだからちゃんと僕も本気で相手するよ」



 さも、当然でしょとばかりの返答に椿は「うぅ」と情けなく唸った。恥ずかし気も無く言われた一言はさすが王子だと何やら感心させられる。




 じゃあさっきのは本気の本気?…て何?…うーん…わかんない…。



 今の椿に考える余裕は無いからそうこうしてる間に溜まった涙でじわと再び滲んで来たから、視界をどうにかしようと手を移動させたが、自分の手よりジーノの唇が拭うように降りてくるのが先で、かぁと頬が熱くなる。




「もしかして恐かった?」



 目尻に落とされる唇に、ぎゅと目を閉じてた椿は心配そうなジーノの声にパチッと目を開ける。



 開けたら開けたで触れそうなくらいジーノとの距離が近くてオタオタする。椿は何だかいつまでも初々しくて可愛い。




「……そ…じゃ…無い…です…けど…」



 恐かったわけでは無いと、たどたどしく言葉を繋げる表情も健気で愛しくなる。



 ジーノがそんな事を思っていると椿は椿で「です」で止めておけば良かった言葉の先の「けど」の続きを、口には出さないが促すようなジーノの視線に益々表情を困惑させた。



 さっきの本気モードでは無いが優しい視線と笑みに降参状態である。





 どっちにしても敵う訳無いのだ。





「…敵いそうにないです」



 そう思ったまま口にすれば、そう?と微笑み返される。



 それからゆっくり降りてくる唇に再び心拍数が上昇し始める。体温も比例して急上昇し熱くなる。




「バッキーはいつも温かいね」



 唇は止める気は無いようでジーノは椿の輪郭を確認するように何度も口付ける。



 最早、栓が壊れたように勝手に溢れてくる涙とジーノの行為に蕩けそうな瞳で椿がジーノを見上げる。まだどこか幼い顔の癖にそんな椿の瞳は何だか妙に色っぽい。ただそれが無意識にジーノを煽っているのを椿は気付いていない。




「火種は王子スよ…」



 段々抜けてく力でジーノの服を掴む。ぽつりと出た言葉も無意識にジーノを更に焚きつけるだけだった。





「何か来て貰った早々に性急過ぎて嫌なんだけど…」




 良い?なんて耳元で熱っぽく囁かれて椿はまるで催眠術にでもかかったみたいに怖ず怖ずと頷く。次の瞬間には自分の行動にしまったと思うが、もう遅い。



 ジーノもどんな反応するのか好奇心と気まぐれで椿が来た早々ベッドへ押し倒しておいて、椿が首を振るわけ無いと確信に近いくらい自惚れている。自分を止める気なんて無い。




「…待っ…、あ…ッ」



 本当に不思議な力でもあるんじゃ無いかと思うくらいあっさり衣服は乱されていく。ジーノに触れられた自身はいとも簡単に反応をし始めて、羞恥と困惑で頬を赤くする椿はジーノの服を掴む手に力を込めるくらいしか出来無い。つい肩が強張る。




「そんなに硬くならなくても」



 露わになってきた身体のあちこちに口付けを落としながら少し呆れた口調でジーノが苦笑する。




「…ん、だ…って…」



 何度経験しても慣れない行為に椿自身でもどうしようも無いのだ。深くゆっくり息を吐き何とか僅かでも力を抜く。




「大丈夫だよ、痛かった事は無いはずだけど?」



 ね?と宥めるように頭を撫でられる。



 優しい手の動きに、改めてそうだなと思い返す。いつもながら甲斐がいしく丁寧だし…と思い出し今更だが椿が益々真っ赤になる。微笑むジーノに見透かされてるような気になった。




「こういう事はさ、お互いちゃんと気持ち良く無いと駄目だと思うんだよね」





「あ、ッ…んんっ」



 耳に入ってくるジーノの言葉も頭の中まではちゃんと入って来なくなる。ゆっくり解される場所は柔らかくなるにつれ急激に思考を奪った。




「バッキー…」



 名前を呼ばれて再び囁かれる。その一言に身構える椿にジーノがゆっくり腰を埋めてくる。




「ん、…あ、あッ…ー」



 浅く息を吐き何とかジーノの侵入を許す。体勢を直そうと動くジーノに椿は恥じらいながらも性格同様に素直に反応を示し身体を震わせる。




「…んっ、あ…んッ」



 深くなるにつれて粘膜の交じり合う音が耳に入る。




「…っ…ア、…おう…じ…ッ」



 次第に口をついて出る甘い声が自分のものとは思え無いが、そんな考え事も律動を繰り返されるうちに何処かへ飛ばした。



 ベッドへ背を預けてるはずの身体は宙に浮いてるような感覚と沈むような感覚が交互に押し寄せる。椿は目の前に居るジーノの服を必死に掴んだ。




「あ、…っ…王…子、王子ッ…」



 激しい律動の中、時折頬や頭を宥めるように優しくジーノに撫でられる。何度目かのうちにそれをきっかけに遠慮がちに椿がジーノへと腕をまわす。そんなジーノから与えられるタイミングでもなければ甘えるのも未だにままならない。



 密着するから椿には見えないが、まわされる腕から感じる椿が甘えてくるのが嬉しくてジーノは幸せそうに目を細めた。抱きしめた椿はとても熱くて腕の中で「王子…」と名前を呼ばれて肌に寄せられる唇に目眩すら覚える。



 込み上げる愛しさに目の前にあった椿の耳に何度か口付けると、熱の篭った身体は感度が良いせいか椿がしがみつく腕に力を込めるからジーノの耳にダイレクトに入ってくる甘い声に気分は益々高ぶる。




「可愛いね、バッキー」




「……っ…ぅ、…ぁ、おー…じ…ぃ」



 度重なる愛撫と既に知り尽くされて悦い場所にしかあたらないジーノ自身に椿が限界を訴える。




「…んっ、あァ…ッ」




「バッキー」



 ぐ、と最奥に自身を埋めたジーノがふいにピタリと動きを止める。どうしたのかとわけがわからないままそっと閉じてた瞳を開けた椿は、びくっと身体を震わせた。



 まだ記憶に新しい。



 視界に入れたのは真剣な表情のジーノだった。



 自分を真っ直ぐ見つめるジーノの瞳に、椿が身体を震わせる。いつもは堪え切れ無くて直ぐ逸らしてしまうが何故か今は硬直してしまい目を逸らせ無い。




「ッ…あ」



 ぞく、と身体の中から押し寄せる感覚に意図もして無いのに椿は締め付けを強めた。中へ連動して一気に頭が真っ白になる。




「あ、ちょ…、や、待っ……ッ…あ、あ、…ィ…く…ーッ」



 ガクガクと震える身体が熱を解放する。



 荒い呼吸をし達して力を無くした椿の身体はベッドでくたりと身を沈めた。



 口一つ動かすにも気怠るそうな椿だったがぽつりと一言。




「…王…子、狡い…」



 あの顔は反則です、と行為の後なのでまだ半泣きで熱っぽく赤い頬で困ったように眉を下げて椿にそんな事を言われるとまだ手放したく無くなる。




「バッキーには敵わないなぁ」




「…え、…あ、…ぁ…んッ」



 軽い口調でまだ繋げたままの自身をジーノが再び奥へと押し込める。放たれたモノが溢れてくる感覚と押し込められる感覚に達したばかりの身体はあっさり反応を示す。




「このままもう一回シようか」




「え、…え?」



 音を立て勢い良く自分の顔の横に下りてきたジーノの手に、二度目にも関わらずまたびくっとなる椿は、まさかと思いジーノを見上げればこの何(十)分かで何回か見たジーノの真剣で綺麗な表情に、再び心臓がドキリと跳ねる。




 まだこのパターンが続くのか、とジーノが表情一つ変えただけでも椿は太刀打ちする術を失う。




 敵わないってどこがだろう…とジーノの台詞に首を傾げる椿だった。















おわり
 







†ありがとうございました!本当に押しかけ押し売り的な感じでお邪魔させつ頂いたのにお待ちしてます、との有り難いお返事頂き嬉しかったです。ジノバキは本当に良いですよねvvv微力ながらこれからも応援と普及に勤しみたいと思います。
p(^^)q